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またも佐就です。

前回までとはまた別の枠で考えて下さい。





続き、からどうぞ。
▽Let's party!

「あっオイ元親don'tmove!!」
「次動いたら締め上げるぞ。」
「は!?知らねェよっつか何してんだお前らッ!!」

放課後の静寂が支配するはずの部屋に響く騒がしい声
そこが何処であるかなど気に留めた様子もなく楽しそうにしている

 

ただ、一名を除いて。

 

 

 

 

 

 

 

買い被るな ホントの俺

 

 

 

 

 

 

 


「ハハハ!!元親おま、ソレ最高にcoolだぜ!!」
「くく、・・・いつもの貴様などよりずっと良いではないか。」
「テメェら・・・人で何してやがる・・・!」

放課後、本来は静かな中筆を動かす音と僅かな会話のみが聞こえる筈の美術室。
そこで、本来の目的とは180度違う過ごし方をしている男子生徒三人と、

 

「あのさァ、此処が何処か知ってるワケ?」

 

教室の隅に追いやられつつ、部屋の名に相応しく手を動かしている男子生徒一人。
高らかな笑い声を上げる男、伊達政宗と、隣で端整な顔を手で覆い肩を震わせている毛利元就、
その二人によって地毛である見事な銀色の髪を高い位置で二つに結われ、無残にも笑いしか誘えぬ
姿となっている長曾我部元親。
美術室の机に座り、放課後を楽しそうに過ごす彼らに、本来の住人である、数少ない美術部の部員であり
彼らの友人でもある、鮮やかな橙の髪に、濃い緑色のフレームの眼鏡をかけてデッサンに勤しむ猿飛佐助が大きな溜息を吐く。


「知ってるに決まってんだろ?」
「あぁ。」
「んなことよりもコイツを戻せ!」


―― 知ってんならもっとさァ・・・


政宗と元就は佐助の溜息など知らぬ様子で相変わらず元親を弄って遊んでいる。
元就など、普段の無表情が嘘かのように慎ましやかではあるが楽しげな笑顔まで見せている。
無論、それが向けられているのは付き合っている佐助ではなく、今現在悪ふざけを共にしている政宗と元親であった。
そのことが何となく面白くなく、佐助は彼らを横目で見つつも再びデッサンへと向き直る。

 

 


「ぷっお前明日からそのhairstyleで来いよ!」
「皆の・・・くくっ、注目の的だぞ。」
「テメェら後で覚えてやがれ・・・!!」


佐助が集中し始めた頃、また可笑しそうな笑い声が美術室の中に木霊する。

彼らは何も佐助の邪魔をしに来たワケではないことくらい佐助自身でも判っている。
今日、久々に部活をやってくる、と昼食の時に元就に告げた。
彼は興味なさそうに小さく頷いただけだったが、
放課後、準備も出来いざ始めますかと意気込んだ頃に美術室の扉を開いてやってきたのだ。
曰く『時間が空いておるから待っていてやろう。』とのこと。
口調こそはいつもの尊大なものであったがそれが照れ隠しなことくらい佐助に見抜けぬはずがない。
その言葉に嬉しさの笑みを返して礼を言い、デッサンを始めたのだった。
しかし、それから暫く経ってからだろうか、元就の携帯がメールの着信を告げた。
そしてまた暫くしてからだった。
政宗と元親が連れ立って美術室にやってきたのは。


別に、彼らが来たからって決して迷惑をしているわけではない。
元来の性質なのか、集中しようと思えばカラオケの中にいようときっと集中できる。
性格からか、静かなのも好きだが軽く騒がしいくらいが丁度良く感じる。
だから佐助は彼らが此処に居て、本来ならば完全に迷惑になるくらいに騒いでいることに対して
何となく気に入らない気持ちを抱いてるワケではなかった。


ならば何故、
こんなにも気分が悪く、
苛々するのだろう。

 

 

――― そんなもん、決まってんでしょうが。

 

 

佐助は黙々と手を動かしつつ、長い逡巡を終える。

―― 苛々しちまうのはしょうのないことさ。
   俺だってまだまだ不完全なガキってェこと。

 


カラン、と軽く乾いた音を響かせ佐助は鉛筆を放る。
思いのほか響くその音に三人はどうしたものかと彼を見遣る。
佐助は邪魔になるからと幾つ物ヘアピンで留めていた前髪をぱさりと下ろしながら席を立つ。


コツ、コツ、と嫌にゆっくりな足音を先刻までの喧騒が嘘のように静まり返った教室に響かせる。
外の運動部の掛け声まで聞こえてきそうな、静けさである。
三人はどう見てもまだ描き終えていない佐助の唐突な行動に瞠目し彼を眺めているしかできなかった。

 


コツ、コツ、という足音が止む。

 

 

彼が止まったのは一人の前。

 

 

「さ、すけ・・・?どうし・・ッ!?」

 

 

 

佐助は、何一つ無駄の無い動きで
不思議そうな訝しそうな顔でこちらを見上げる

元就を掻き抱いた。

 


「ッ何をする!」

 

当然、元就は突然そんなことをされる理由も見つからず、
二人がこちらを見ている恥ずかしさも相俟って、佐助を力ずくでも押し返そうとした。
しかし、予想以上の強さで抱き締められているため、腕に思うように力が入らない。


二人はぽかんと呆気に取られたようにこちらを見ている。

 

 

「やっぱり、駄目だったなァ・・・。」

 


元就をきつく抱き締めながら、佐助はぽつりと落とすように呟く。

 


「What?どういうことだ?」

 

呟きに答えたのは意外にも政宗だった。
その表情には訝しげなものもあったが、何処か真剣な目をしていた。
聡い彼は佐助の呟きがいつもの飄々としたものでないと感じたのだろう。
政宗の声からそれを受け取ったのか、佐助は漸く元就を解放する。
しかし彼の側からは離れず、ドッと机に座りばさりと前髪を掻き上げた。


「やっぱりさ、駄目なんだよね。ああいうの見ちまうとさ。」


机の上に脚を組んで座り、眼鏡の奥にある目を冷たく細める彼の姿は
間違いなくいつもの彼とは違った。
口元に浮かぶ笑みも、何処か冷たさを思わせた。


「あんまり、俺の前じゃないとこで楽しそうにしないでよ、元就。」


ぴくんと小さく元就の肩が揺れる。
いつもと違う様子、声、そして『元就』という呼び方。
やはり聡い元就は、彼が軽い口調ながらも真剣なことに気付く。


「俺さ、独占欲強かったりするんだよね。」

その言葉は、にっこりと嫌に整った笑顔と共に、
二人に向けられた。
そして佐助は机から降りると、元就の腕を掴んだ。


「というワケで。今日はもう頭冷やして帰らせてもらうよ。」


そう、言い残し佐助は二人分のカバンも掴み美術室を後にした。
残された二人はただ呆然、二つの足音が小さくなっていくのを聞いてるしかなかった。

「shit!やりすぎちまったな。」
「俺に対してもな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「佐助ッ、腕を離せ!痛いであろう!」
ぐいぐいと腕を引かれたやってきたのは
学校ないの敷地内でも、極めて人のこない水飲み場。
佐助はここまでくるとカバンを放り、強く握っていた元就の腕も放し
突然頭から水を被った。

 

「あー!!俺様失敗!」


顔に伝う水を払い、鬱陶しげに前髪を払った後から出てきたのは
いつもと寸分代わりのない姿。
元就はその変貌振りに頭が追いつけずぽかんとしていた。


「ゴメン、ナリ。腕痛かったっしょ?」


心配そうに言いながら彼のうっすらと佐助ほ手形が残っている腕を優しく掴み水で冷やす。


「何なのださっきから。ワケが判らぬ。」

少しだけむくれた様子を見せる元就に佐助は小さく笑みを零した。
その、本当に普段の違わない姿に元就はやっと緊張が解れた。

「ナリ、マサやチカと凄い楽しそうだったから、妬いちゃった。」
「そなたが、妬く?」
「妬くも妬く。希少なナリの笑顔が俺以外に向けられてるって思ったら頭真っ白。情けねェ話。」

元就の腕を拭いてやりながら佐助は自嘲気味に言う。
そんな佐助の頭を、ぱしんと空いている手で叩く。

「馬鹿者。そのようなことは真っ白になる前に言え。」
「スイマセンでした。」

冷静になってから反省したのか、小さく項垂れている佐助の頭をそっと撫でてやる。

「幻滅、した?」

軽い口調で言っているクセに目が何処か泣きそうな佐助に、
元就はぷっと小さく噴き出した。

「馬鹿者。そのようなことで幻滅しておったら我は何度見限られておるのだ。」

ぱちん、とデコピンをしてやると、佐助は額を押さえながらも
漸く立ち直ったのかいつものような笑顔を見せた。


「でも、買い被らないでね。ホントの俺は嫉妬深い、気の短い奴だから。」


ずいっと顔を近づけ、佐助は内緒話のように囁く。

 

 

 

 

 


「愚か者。たかがそんなことで我が離れていくと思うでないぞ。」

 

 

 

 

 

きっぱりとした口調で、口元に意地の悪い笑みを浮かべて、
元就は言った。

 

 

 

 

 


「ぷっ、それは申し訳アリマセンデシタ。」

 

 

 

 


こそこそと秘密を共有するように。
互いに間違いなく想いが伝わるように。
今度こそ、間違いなどせぬように。


それを誓うかのように。

 

 

 


学校の片隅の忘れ去られたような場所で、
そっと重ねるだけのキスをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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百合にゃん双子斬り込み隊長・文字書き
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好きなもの:双子、百合にゃん、柄の悪い奴、パロetc...

好きな漫画ゲーム等:戦国BASARA、戦国BASARA2、銀魂、落乱(忍たま)、種、種運命、薔薇乙女、ブラック・ラグーンetc...
好きなキャラ(上記ジャンルより):政宗、元就、元親、佐助、小十郎、銀時、土方、高杉、桂、きり丸、団蔵、久々知、タカ丸、鉢屋、伊作、仙蔵、文次郎、食満、土井先生、利吉、アスラン、ファントムペイン、真紅、翠星石、蒼星石、水銀燈、ロック、レヴィ、ベニー

BASARA愛CP:伊達受全般、佐就

好きな声優:諏訪部順一、中井和哉、豊口めぐみ

好きな歌手:ALI PROJECT、angela、T.M.Revolution、redballoon
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