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またまた異色物を。笑
佐就梵の親子ネタ。


佐助:児童養護施設勤務。施設に居た梵を引き取ることに。超絶親バカ。

元就:佐助と同居中。梵がやってきて家族に。梵には甘い。

:ワケあって施設にいたが佐助に引き取られ、二人の子供に。

佐助と元就はデキてます。元就はちゃんと男。
梵は幼稚園児。でも幼稚園はあんまり好きじゃない。
そんな感じのパロです。
楽しいのはあたしと副隊長だけ。笑

そんなワケで副隊長の誕生日プレゼントってことで!!

れつぱーりぃからどうぞ。
▽Let's party!

 

昼間の日差しがぼんやりと和らぐ夕方。
住宅街の歩道を手を繋いで歩く大小の人影が二つ。

 

 

 

 

 

 


腕いっぱいの

 

 

 

 

 

 

「なぁ、もとなり。」
「何だ、梵?」

小さい影が大きい影を見上げ訊ねる。
幼稚園の帰りなのだろうか、小さい影は制服に帽子を被っている。
元就、と呼ばれた大きい影は梵と呼ばれた小さい影を見下ろして訊き返す。

「梵、さすけともとなりのところにこれたことがうれしいんだ。」
「そうか。」
「だから、梵、さすけともとなりにおれいがしたい。」
「礼?」
「イエス。でもなにがいいのかわかんないからおしえてくれるか?」

ことん、とやや不安そうに首を傾げる梵に元就はふっと小さく口元を緩ませた。
繋いでいた手を離し、やや不器用な動作で梵の頭を掻き混ぜるようにして撫でる。

「もとなり、いたい。」
「そうだな。あやつは梵がしたのなら何だって喜ぶと思うが。」
「なにがいい?」
「何か、作ってみるか?」
「クッキング?」
「そうだ。」

空を見上げ、少し逡巡した後にの元就の言葉に梵の表情がぱっと華やいだ。

「ナイスアイディア!梵プリンつくりたい!」
「プリンか。家に簡単にできるのがあったはずだ。」
「かえってすぐつくる!」
「では、佐助が帰ってくる前に作らねばな。」
「うん!はやくかえろっ!」

ぐいぐいとまだ幼い力で梵は元就の腕を引き、早い帰宅を促す。
そんな小さな彼を見て、元就がひっそりと柔らかい笑みを浮かべていたのを梵は気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 


「もとなり、これよめない。」
「牛乳、だ。」
「もとなり、たまごとって。」
「うむ。」

帰宅後すぐに梵は着替え佐助お手製の可愛らしいエプロンを身につけ、
台所のあちこちを忙しなく行き来していた。
簡単に作れるプリンの素の箱を片手に、一々元就に聞いてから幼いながらも手際よく準備を進めていた。
普段から食事を作る佐助の手伝いをしているおかげか、梵は何が何処にあるかちゃんと判っている。
料理が得意ではなく、普段から片付けを担当している元就は、そんな梵をアシストするような形となっている。

「我がやろうか?」
「ノー!さすけともとなりのおれいだからダメだ!梵ができないとこだけてつだって?」

梵の手には大きすぎるボールを精一杯抱え泡立て器でたどたどしく混ぜていく。
ちなみに、卵黄と卵白に分ける作業は、どちらもできなかったのでざるを使ってやった。
火を使う時など元就は気が気じゃない様子で、しかし自身の不器用さもありただすぐ隣で見ているしかできなかったが、
決して安心できたものではないが、梵は精一杯鍋を掻き回していた。
材料を混ぜ終え、プラスチックの器にそそぐのを元就にやってもらい、後は冷まして冷蔵庫に入れるだけ。
梵はあちこち汚れたエプロンを外し、洗濯籠に放り込んでからソファにどっと座り込んだ。

「ふー、疲れた。」
「頑張ったな。」

くしゃ、と少しクセのある梵の髪を撫ぜてやる。
梵は誇らしげに笑み大きく頷いた。

「さすけ、よろこんでくれるかな?」
「あぁ。」
「もとなりも、よろこんでくれる?」
「嬉しいぞ。」
「梵もうれしい。」

此処にやってきた当初では見ることのできなかった、あどけない笑顔。
元就はもう一度ぽん、と頭を撫で立ち上がった。
そしてそのままベランダに向かい、洗濯物を取り込み始めた。
家事が恐ろしく苦手な彼が忙しい佐助を手伝える数少ない仕事なのだ。
全て取り込み終わり、また部屋に戻ると洗濯物の小さな山の前には既に梵が座っていた。

「別にやらぬともよいのだぞ?」
「ノー。梵てつだうのすきだから。」

小さな手でタオルを丁寧に畳む仕種を見て、元就は小さく笑みを零す。
礼などということをしなくても、こうやって安らぎを与えてくれていることが
一番二人へのお返しとなっていることを、この幼子は知らない。
こうやって家の手伝いをしょっちゅうしてくれるのも、
自分を引き取ってくれたことへの負い目からだろう。
複雑な事情を抱えていた上にそんな気を遣うことなどさせたくないのだが、
案外好きというのも本当らしくやや音の外れた鼻歌まで歌っている。

「フィニッシュ!もとなり、おわった。」
「うむ。そろそろ佐助も帰ってくるな。」

ちらと時計を見て元就が言う。
帰ってからつけっぱなしのテレビがニュースを伝えている。

 


ガチャ、とやや重たい音をさせて鍵が開く。
その音に、主人の帰りを待つ犬のように梵がピクリと反応する。


「ただいまー。」
玄関から聞こえる声に梵は駆けていく。
その後をついて元就も出迎えに行く。
「おかえり、さすけ。」
「おかえり。」
「ただいま、梵、ナリ。」
佐助はそのまま梵を抱き上げリビングに向かう。
「すぐ飯の準備するから待ってて。」
「梵てつだう!」
「ありがと。」
ソファに梵を下ろし、寝室へ行きラフな部屋着に着替えるとすぐに夕食の準備にかかった。
そんな佐助と、その隣でひょこひょこと忙しなく動く梵の姿を元就はぼんやりと眺める。
こんな光景がいつからか日常になっていた。
梵はもう立派な二人の子供なのである。
彼が抱えている事情が事情故に普通の子供とは異なることもある。
しかし、佐助も元就もそれごと包み込んで梵を愛している。
そのことを、幼いながらもうっすらと判っている梵はこの上ない幸せを感じているだろう。

「さすけ、きょうプレゼントがあるんだ。」
「プレゼント?」
「ごはんたべたらね。」

引き取られてきた当初よりもずっと、梵の笑顔は増えている。

 

 

夕食を終え、その片付けを元就が終え、三人で暫くテレビを見ていた。
不意に梵が立ち、ぱたぱたと冷蔵庫の中のプリンを見に行く。
十分に固まっているのを確認してから二つ手に取り、またぱたぱたと二人の元へ走る。

 


「さすけ、もとなり。ここにおいてくれてサンクス!」

 

二人の前に立ち、少しだけ照れ臭そうに頬を染めながらすっとプリンを差し出した。
佐助はそんな梵の行動に一瞬きょとんとする。

「梵が、自分を引き取ってくれた我らに礼がしたいと言ってな、昼間頑張って作ったのだ。」

呆けている佐助に元就が補足をすると佐助は無言で目の前の梵を思い切り抱きすくめた。
いきなり抱き締められた梵はワケが判らない様子で目を丸くし、両手のプリンを死守していた。

「梵、一人で作ったの?」
「もとなりにちょっとヘルプしてもらったぞ?」
「我は殆ど手を出しておらぬ。」
「俺達のために?」
「おれいしたかったから・・・。」

ぎゅうっと強く抱き締めているので、梵からは佐助の表情が見えない。
感情を押し殺したような声での問いに梵は失敗したのだろうかと不安を声に混じらせる。
佐助はやっと梵を離すと、手に持っていたプリンを受け取り、そっと一口口へ運んだ。

「美味しいよ。」
「ほんと?」
「あぁ、美味いな。」
「梵、ありがとう。」

佐助のその言葉に、梵は不安げだった表情を綻ばせた。
そしてまた冷蔵庫に向かい自分の分を取り出し二人の間に座って食べ始めた。

「おれい、よかった?」
「勿論。ホント嬉しかったよ。」
「うむ。」

二人の様子に梵はほこほことご機嫌な様子でプリンを食べていく。

「梵、ホントにありがとな。」
「うん!」
「俺達の子になってくれて、ありがとう。」
「梵がサンクスなんだよ!」
「我らも『ありがとう』だ。」

 

 

三人の時間はゆっくりと過ぎていく。
梵の作ったすの多いプリンは器だけがテーブルの上にある。

 

 

 

 

 

 

 


佐助は隣に座る、自分たちの可愛くて可愛くて仕方のない子供を見て目を細めた。
そして、その子供が自分たちを思ってしくれた今回のことを思い、

 

 

 

 


「ヤバッ、俺様嬉しすぎて涙出そう!」
「泣いてでもみろ。梵が心配するぞ。」

 

 

 

 

 

 


こっそり涙した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――
副隊長誕生日おめでとォォォ!!!

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菊川望
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女性
職業:
百合にゃん双子斬り込み隊長・文字書き
趣味:
ネサフ・落書き・パロの妄想
自己紹介:
好きなもの:双子、百合にゃん、柄の悪い奴、パロetc...

好きな漫画ゲーム等:戦国BASARA、戦国BASARA2、銀魂、落乱(忍たま)、種、種運命、薔薇乙女、ブラック・ラグーンetc...
好きなキャラ(上記ジャンルより):政宗、元就、元親、佐助、小十郎、銀時、土方、高杉、桂、きり丸、団蔵、久々知、タカ丸、鉢屋、伊作、仙蔵、文次郎、食満、土井先生、利吉、アスラン、ファントムペイン、真紅、翠星石、蒼星石、水銀燈、ロック、レヴィ、ベニー

BASARA愛CP:伊達受全般、佐就

好きな声優:諏訪部順一、中井和哉、豊口めぐみ

好きな歌手:ALI PROJECT、angela、T.M.Revolution、redballoon
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